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21年04月13日
曼荼羅の話 心理療法と曼陀羅
曼荼羅には、宇宙の広がりを示すように、神仏が配置されています。その中央には、大日如来が配置され、四方八方に如来や菩薩や天善神が配置されています。中央の大日如来は宇宙を創成した如来で、すべてを統括しており、ゆるぎない存在です。したがって、人が具体化して何を悩みお願いするかは、ほとんど無色透明で、具体性を持たない存在です。そのために、前世や死後の世界や現実の事態の問題や心の悩みなどは、他の如来や菩薩が司っています。これらの仏さまは、それまでどれも美しく優しい顔をしていました。空海は,当時最高の腕を持つ仏師にお願いして、これまでと異なった、怖い顔をした仏像の制作をお願いします。そんな顔をした仏像を作ることを拒否し続ける仏師のかたくなな態度も、空海の熱心な願いに折れて、周辺に配置される怖い顔をした仏像を作ります。世界は、美しいものだけの存在ではないのです。その世界を、空海は表現したかったのでしょうか。