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21年04月16日

脳のシステムと曼荼羅

脳のシステムと曼荼羅

 

 空海がこれまでと異なった怖い顔をした仏を作りたかったのは、世界は、優しさだけであるのではないことを示したかったように思います。脳の仕組みは、宇宙の記憶を持って作られた一部であると考えると、人間の脳は、プラスとマイナス、幸福と不幸、健康と病気、戦うと逃げる、空腹と満腹、愛と孤独、強いと弱い、悲しみと喜び、肯定と否定、生きると死ぬなどなど、すべての記憶を持って機能するようにできているように思われます。空海が構想した当時の曼陀羅は、人間を含め、こうした宇宙のありようを理解させ、それを通して、人間が悟りを開く場として表現しようとしたのではないかと。慈悲を持った如来の背後には、恐怖の顔をした不動明王が必要なのです。如来の慈悲を広げるには、も一つの全く逆の力を持つ不動明王のような強力なエネルギーが必要なのです。大日如来の慈悲と不動明王の恐怖という全く反対の力、おそらく「絡合」という相互作用の力が絡み合って、幸せな悟りの道が開けるのです。