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21年05月23日
まんじゅう問答(5)
賢者は事実を誤る
寺の和尚さんが、寺に帰ってくると、小僧さんが、ぷんぷんになって、言いました。
「早く帰ってくるからと言って留守番したのに、いつまでも帰ってこない。もっと早く帰ってこい。」小僧さん怒りが収まりません。「それに、旅の坊主がやってきて、俺をさんざん馬鹿にしやあがって。」と言うのです。和尚さんは、「何があったのですか。」と、たずねました。すると小僧さん、腹をたてながら。
「あの野郎、禅問答とかなんとかをお頼み申すというので、引き受けた。そこで何をやるかと思ったら、お前の店のまんじゅうは、これくらいかといい、小さい丸を指で作って馬鹿にするので、違うわい、これだけでかいんじゃ、と大きく腕を広げていってやった。すると、お前の店のまんじゅうは、一本いくらだと聞く。そこで5文だというと、あの野郎、3文のまけろという。馬鹿にするなと思い、あかんべえして返したら、あの野郎、「恐れ入りました。」とわけわからないことと言って去ってしまった。あんたがいつまでも早く帰ってこないからこんなことになったんだ」と一気に話しました。寺の和尚さんはこの話をにこにこ聞いておりましたとさ。