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21年10月01日

クライエントさんが良くなる状況はすべて異なる

クライエントさんが良くなる状況はすべて異なる

 

外出恐怖症

 外出恐怖症治療で行動療法を軸にカウンセリングを実施し、店に入るという最終目標に到達成できないままで中断したクライエントさんから、しばらくして、電話がありました。

「カウンセリング中断の後も、症状は変わらず、外に出られないで悩んでいる状態は続いています。」さらに、「子どもができてしまったんだけどうしたらよいでしょうか?」という質問がありました。外にも出られない状況で、子どもを産んで育てられるだろうかという心配はよくわかります。私は、「生命の大切さほど世の中に重要なことはない。私は産むべきだと思います。」と返事をしました。

 それからしばらくして、また電話がかかってきました。「先生、外出恐怖症が治りました。」という喜びの電話でした。「子どもを産んだら、お店に行くのが怖いなんて言っていられないと思い、外に出て店に入ってから、すっかり怖くなくなりました。」というのです。

 これをもし法則化するとしたら、外出恐怖症を直すには、妊娠することだ、となってしまいます。こんなばかげた法則はありません。

 心理療法は、科学的な様々なアプローチは必要ですが、クライエントさんが治るのは、本当にその人によって異なります。臨床心理士の仕事は、このようにほとんどがソフトで柔軟に行う仕事です。