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13年07月10日

うつ病と認知行動療法

うつ病と認知行動療法  

A・エリスが示したABCD理論は、「論理療法」という形で展開されていきますが、これら認知行動療法の原点は、アーロンT・ベック教授です。

エリスが言うように、生活で起きた事柄に対して、それをどのように考えるかによって感情が左右されるとしたら、その思考のあり方が不合理であると問題を発生しやすくなります。

アーロン・T・ベック教授は、うつ病と診断された人と話しているとき、奇妙な思考の仕方に気づき、もしかしたら、うつ病の人は皆同じような思考をしているかもしれないと予想しました。
そこでうつ病と診断された人々を一堂に集め、ある状況を提示して、これをどのように考えるかを作文させました。その結果を調査・集計すると、その思考傾向が非現実的で非合理的であることがわかったのです。

彼はうつ病になる人は、その考え方に問題があり、「うつ病は思考障害」だと考えたのです。したがって、この思考を合理的・現実的に改善することによって、うつ病は治ると予想しました。

こうした不合理で非現実的な思考は、先に述べてきたように、繰り返される成育歴の中で、がっちりと組み込まれていきます。そうして、成人になってもその思考傾向は強化されて、些細なことにも反応しながら、不安感や恐怖感を増していきます。その結果常にストレスフルの状態で生活しなければならなくなります。

ストレス実験では、慢性ストレス下にあるものは、ちょっとした新たなストレスで一気に心の病気になってしまうことが示されていますが、これと同じで、些細なことも含めて、いたるところで不安感を作り出し、新たなストレスでうつ病になってしまうのです。新たなストレスが加わらなくても、常に精神的不安定な状況ですから、いつうつ病になってもよいといえる状況に置かれているのです。