実存分析と現存分析

　実存分析としては、フランクル、現存分析としては、ビンズワンガーやボスなどが知られています。現象学的心理療法の中の実存分析は、現存分析と同様、これまでの心理療法の技法のもとにある人間観や世界観への反省からきていると言えます。

　実存分析のメイは、「治療者はクライエントを実際にあるように見ているだろうか。それともクライエントに治療者自身の持つ理論の投影を見ているのだろうか。理論として素晴らしいものであっても、今治療者の前に座っている生きたこの人に役立っているであろうか。この人は他の体系や立場からも理解できず、海の泡をすくうようなものであり、科学的研究ではとらえられないものではなかろうか」と述べたように、治療者は、クライエントを治療するのではなく、二人の人間の出会いとして、治療者もクライエントも人間として新しい視野と見解を経験することを強調しています。

　しかし、実存分析家には、フランクルのように心理技法に触れたものもいます。フランクルは彼の技法を論理療法と呼び、クライエントが人生に生きる価値〈生きがい〉を持つことであり、それがないと実存神経症になるとしました。彼は、逆説的思考と反省除去という技法を使って、前者で神経症をあざ笑う力を、後者で現在あるがままの自分を受容する力を得させようとしました。

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