「弁証法的行動療法」の意味は？

　「弁証法的行動療法」の中の、「弁証法」にはどんな意味があるのでしょうか。今日はそれに関して説明します。

　「弁証法」は、哲学の領域で様々な発展をしてきました。中でも著名なのは、哲学者、ヘーゲルの考え方が参考になります。ヘーゲルは、「有限なものは、自己自身の中で自己と矛盾し、それによって自己を止揚し、反対物へ移行する」とし、それを弁証法と呼びました。

　「弁証法的行動療法」でいう徹底的受容とは、受け入れがたい状況も受け入れるということなので、現実を解決していくために著しい矛盾＝問題を抱えています。4つのトレーニングによって、その矛盾=問題を乗り越えていくときに、反対物=新しい自己が生まれるということから、弁証法という言葉を採用したのでしょう。つまり、「徹底的受容」と、弁証法的行動療法でトレーニングする後の4つのスキル対処を通して矛盾した状態からそれを乗り越えつつ、より良い状態に移行していく姿が弁証法的であるというわけです。

　ある問題を抱えた状態は、そう簡単に修正できるわけではありませんから、弁証法的に順を追って、かなりのトレーニング内容が含まれています。弁証法的行動療法は、2011年に日本で紹介された極めて新しい心理カウンセリング方法です。

　阪神カウンセリング・ラボではパーソナリティ障害だけでなく、うつ病やその他の神経症の方にも応用して効果を上げています。

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