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「イラショナルビリーフと感情」

　普通、人は、感情のすべてを自分が起こしているとは考えにくいようです。特に、不安、悲しみ、怒り、いらいら、恐怖など、ネガティブな感情はなおさらそういう傾向にあります。人が怒りや悲しみを感じた場合は、特にそうでしょう。怒りの感情を引き起こしたのは、相手だと考えるのが普通かもしれません。

　しかし、論理療法をうつ病やパーソナリティ障害などに適応したアルバート・エリスは、悲しみや怒りはその人自身が起こしていると主張します。例えば、上司がある人を叱ったとします。そのために、悲しみを感じたとき、この悲しみは、上司が叱ったからだと考えがちですが、そうではないというのです。上司が叱ったことを、「こんなに叱られて私は情けない」と考えるから、悲しいのだと言います。人の感情を引き起こしているのは、状況ではなく、その状況をその人がどうとらえるか、どう考えるかによって引き起こされるというわけです。これをエリスのＡＢＣ理論といいます。この時に、感情のもと、即ち感情の責任にあたる自分の思考の在り方が重要になってきます。この思考が、イラショナルビリーフ（不合理な信念）であると、そこから生まれる自動思考が、不合理で否定的になって出現するのです。

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