うつ病の心理カウンセリング
うつ病や抑うつ神経症の人がまわりにいたら、気を使うことが多いかもしれません。 カウンセリングをして、気になることは、周囲の人が、うつの人の気持ちを考えずに、無神経な言動を吐いていることです。
うつ病の人は、もともと認知の歪みを抱えている場合が多いので、抑うつ状態が激しいほど、他者の言葉に敏感に反応してしまいます。 身体が動かないのは決して怠けているわけではなく、動けないのです。
うつ病の人は、ほとんど性格的に生真面目で几帳面、仕事をさぼるなんて大嫌いな人がほとんどです。 うつという症状が、仕事のできない状況を作っているわけで、怠けものでもいい加減でもないのです。
だから、ちょっとした言葉で、傷ついてしまいます。 うつ病を改善して、会社復帰した人が、再び落ち込むのは、周囲の言動が原因であることがしばしばです。 気を使いすぎて、必要以上に接触をすることも、気を遣いすぎて、必要以下に接することにも、敏感です。 自然体でいいのですが、それでも言ってはいけない言葉があります。
まず一つは、うつ病ということをしっかり受け止めてあげるということです。
「こんなことで心配しなくていいよ。だれでもあることなんだから」
「たいした問題じゃあない」
「さあ、元気を出して。飲みに行こうや」
「いつまでめそめそしてるの」
「どうしちゃったの。あなたらしくない」
「世間にはあなた以上に困っている人いるのだから」
うつ病や抑うつ神経症の人が、うつに陥っているとき、こんな言葉を言われると、 「ああ、私のことまったくわかってもらってない」と思ってさらに落ち込み、うつの状態を悪化させてしまうこともあります。 特に、心理療法やカウンセリングで、有効な時間を過ごして家に帰ってから、 一度に向上するわけでもないから、少しごろごろしてると、家族の人はついこんな言葉を吐いてしまいます。
二つ目は、うつの人に、感情的な言動は禁物です。
うつの人は、自分の状態を何とかしようと、いろんな人に相談したり考え込んだりしています。
そんなうつ病の人に
「せっかく相談受けてあげてるのに、なによ」
「あなたのためにやってあげてるのよ。それなのに」
「いいかげんにしなさい」
「この役立たず」
「そこまでして私を困らせたいの」
「もう、あっちいって」
「だらだらしてないで、もっとしっかりしたら」
「気合いが入っていないんだから」
うつ状態の人が、だらだらしてるのは、うつという症状なのです。
三つ目は、励ましの言葉です。
「がんばって」
「元気出せよ」
「たまには、笑顔出してみたたら」
こんなことは、うつの人にはわかりきっていることなのです。 頑張りたくても頑張れない。 元気出したくても元気が出ない。 笑いたくても笑えない、のです。
うつ病という症状を出す前は、ほとんどの人が、頑張り屋で精力的に働こうとし、ひたすら笑顔を出そうと必死の思いで暮らしています。 だから、周囲の人に言われると、うつの人は、 「こんなつらい時に、これ以上どうするのよ(どう頑張ればできるのだ。これ以上の頑張りをしろということか)」 などと、余計落胆してしまうのです。
うつの人が周囲にいたら、しっかり受け止めてあげること。それは、言葉でなくてもいいのです。 ちょっとした笑顔でも、手を添えてあげることでもいいとおもいます。 粘り強く、感情的にならないで、冷静に対応しましょう。 感情的になることはうつの状態を悪化させるだけです。
そして、励ましを与えないで、今できることを大切にして、ちょっとでもできたら、それが次につながりますから、うつの人が改善していく可能性を信じましょう。 うつ病や抑うつ神経症は、治る心の病気です。