うつになると記憶力や集中力がなくなるのはどうして?
うつになると、記憶力や集中力がなくなるのはどうして?
どのような心の悩みや病気であっても、その症状はその人にとって何らかの必然性のあることなのです。
手洗いの強迫症状を持っている人は、なぜ、その他の症状に向かわないで、手洗いという潔癖症状で対応するのか、不思議だとは思いませんか?
この必然性を、うつの症状で考えてみましょう。
うつになると、できる限り人との接触を避け、社会から自己を遠ざけて、何もしたくなくなりエネルギーを失います。この症状も、その人にとっては必然性のある症状選択だと思っています。
うつになりやすい人は、一般的によく言われるように、真面目で、几帳面で、がんばりやさんが多いのです。頭もよく、周りに気を遣い、怠けていると思われないように懸命に働きます。もっといい加減でいいのに、それを許さず、場合によってはこのがんばりが当たり前だと信じているかのように、とにかく一生懸命のタイプの人がほとんどです。だから、よけい必要以上に疲れてしまうのです。
そして、疲れてくると、特有の思考パターンで、思考の悪循環を始めます。(健康で過ごす他の方法があるという点で、悪循環という表現をさせてください。)
思考の悪循環の中身というと、そのほとんどが否定的で悲観的です。問題が起きた相手との関係も、その相手との過去にあった出来事なども、そのほとんどを嫌な歴史として思い出します。こういう記憶は、考えれば考えるほど、健康で楽しく肯定的な話などはほとんど浮かんできません。そして、つらい出来事が重なってくると、さらに思考の悪循環をするわけです。そうして、疲労の限界にきて、うつになるのです。
~つづく~