心の問題を解決するために、現在行われている方法とは、様々なものがあります。宗教で解決する人もいるでしょうし、占いや超能力などで関わることがあるかもしれません。しかし、人類が見出した心の問題を解決する有効で科学的な方法は、薬物療法と心理療法と言えます。薬物療法が発達していない頃は、心理療法しかありませんから、科学的な歴史としては圧倒的に心理療法の方が長い歴史を持っています。
　薬物療法の優れているところは、人間の脳内の伝達物質の異常が原因である場合、その異常を除去改良するのに直接効果を発揮することです。しかし、心因によって起こる精神的な問題は、必ずしも薬物では対応できないところがあります。
　心理療法とは、薬物を使用しないで、心の問題を解決する科学的方法といえます。これには百年もの歴史を持って、改善・創設されてきた理論や技法があります。現在、世界の学術界で認知されている心理療法として有効な理論や技法は、２００以上あると言われています。こうした科学的な理論や技法に基づいて実施される心の問題に対処することが、心理療法または心理カウンセリングと呼ばれるものです。
　臨床心理士は、こうした学術的な心理療法を学んだうえで、大学院で直接教授される指導教官の得意な方法を習得しながら、実践に立ちます。カウンセリングは、実に様々な見解や方法があり、すべてのクライエントが、一つの理論や方法で心の問題を解決できるようなものではありません。クライエントの歴史や状況においてどれが良いかを選択されるような相談室が理想でしょう。



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