自分の中にあるおおいなる力　弁証法的行動療法

　境界性パーソナリティ障害（境界性人格障害）の最も新しい心理カウンセリングの方法として、リネハンらが創始した「弁証法的行動療法」というものがあります。これは境界性パーソナリティ障害や感情調節が難しい人の心理カウンセリングとして大変有効な方法です。それだけでなく、うつ病や摂食障害、パニック発作や恐怖症など心の病気に関する幅広い心理療法として優れた効果をもたらすものです。
　弁証法的行動療法は、2011年に我が国に紹介された究めて新規な心理カウンセリングの方法ですが、阪神カウンセリング・ラボでは、いち早くこの技法のいくつかを応用して実施しています。苦悩耐性スキルというトレーニングの中に、「自分の中にある大いなる力」を学習するセッションがあります。それは、宇宙であったり、地球を考えたり、人間という不思議な存在を考えたりして、この個体以上に実に大きな存在の中で無関係でなく存在している自己を見つめ直すことによって、苦悩時に耐えることを目指しています。特に人間という存在を考えただけでも、大いなる力の中で生きていることが実感されます。弁証法的行動療法は、宗教的な側面を否定しておらず、むしろそういった側面を重視しているかのように思えるところもありますが、それらを否定しないもののあくまでも科学的な心理療法というアプローチで宗教者が得られるような心の安定を得ようと試みられています。





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