演技性人格障害
演技性人格障害(えんぎせいじんかくしょうがい)は、日常生活の中において役者の演技のような行動をし、その結果自分が注目の的とならなければ大きなストレスを受けるため、自己破壊的な行動や、或いは自己破壊的なまでに挑発的な性行動を取ったりする精神疾患である。
概要
もともとヒトは、ウィリアム・シェイクスピアが「物みな舞台、人みな役者」(『お気に召すまま』)と表現したように、職業人として、家庭人として、友人として、或いは行きずりの他人としてのペルソナを場合によって被り分けるものである。だが本症に於いては、こうしたペルソナの使い分けができず、ある一つのペルソナにこだわる事によって社会生活に支障を来たす。
外向性
外向性が強いことが特徴である。同時に、内面が希薄であり、アイデンティティの確立が弱い。そのため、被暗示性が強く、他人からの影響を受けやすい。他者からの注目が自己の基準となっていて、そのために外見など表面的な手段を使う。
虚言
演技性人格障害と関連する精神疾患にプソイドロギア・ファンタスティカ、いわゆる病的虚言症がある。願望にもとづき、自分を実際以上に見せるために、あらゆる妄想虚言を吐く、一群の病者である。願望による妄想を事実であるかのように語る。外見を良くするために化粧をするが、それと同じ感覚で外見を良くするために虚言を吐く。有名人や権力者と知り合いであるかのように、会話中にはネーム・ドロッピングを行う。高い知性を伴えば、スタンドプレイの好きな、権力志向の人物と言う評価内に納まる事もあるが、多くは周囲との利害を調整できず、詐欺などの犯罪を犯すこともある。
本症を罹患している者の依存者による妄想虚言の解き明かしを行った場合、症状が悪化(境界性人格障害の急性症状に近似)する場合がある。
本症診断を、虚言性人格障害と表現する医師もあるが、現状ICD10のカテゴリF60及び、DSM-IV-TRでは定められていない。
診断基準
DSM-IV-TRによると、以下の基準に5つ以上当てはまる場合、演技性人格障害が疑われる。『DSM-IV-TR 精神疾患の分類と診断の手引』(著者:American Psychiatric Association、翻訳:高橋三郎、大野裕、染矢俊幸、出版社:医学書院、ISBN 4260118862) より引用。
過度に情緒的で、度を過ごして人の注意を引こうとする行動の広範な様式で、成人期早期に始まり、さまざまな状況で明らかになる。
自分が注目の的になっていない状況では楽しくない。
他人との交流は、しばしば不適切なほどに性的に誘惑的または挑発的な行動によって特徴づけられる。
浅薄ですばやく変化する感情表出を示す。
自分への関心を引くために絶えず身体的外見を用いる。
過度に印象的だが内容の詳細がない話し方をする。
自己演技化、芝居がかった態度、誇張した情緒表現。
被暗示的、つまり他人または環境の影響を受けやすい。
対人関係を実際以上に親密なものとみなす。
発症の男女比率
9割が女性であるが、これに対し反社会性人格障害では生涯罹患率がそれぞれの文化圏で本症と同程度であり、こちらは9割が男性である(他に、いずれの疾患も「他人から美化され注目されることを望むが、自分は他人に対して関心を払わず、他人を尊敬することもしない」、「他人の心身の痛みを理解できない」などの病像が似ている)ことから、同じ疾患が性差として現れた物であるという解釈もあり、その原因となる神経伝達物質や遺伝子の探索が行われている。
ウィキペディア参照:https://ja.wikipedia.org/
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