ドメスティックバイオレンス
「ドメスティック・バイオレンス」(domestic violence、以下DVと記述)とは、同居関係にある配偶者や内縁関係や両親・子・兄弟・親戚などの家族から受ける家庭内暴力のことである。ただ、TVニュース等で「DV=夫婦間暴力」と説明してしまうことも少なくない[1]ため、厳密正確な意味が広く浸透しているとは言い難い。
英語「domestic」は「家庭の」という意味だが、近年ではDVの概念は同居の有無を問わず、元夫婦や恋人など近親者間に起こる暴力全般を指す場合もある。その意味でDVとはカップル間において一方が他方を暴力によって支配する状態を指す。その場合は「ジェンダーバイオレンス」と呼ぶべきものである。
概要
近親者に暴力的な扱いを行う行為・ないしは暴力によって支配する行為全般を、このように呼ぶが、ここでいう虐待には以下の種類がある。
身体的虐待
一方的な暴力行為。
精神的虐待
恫喝したり日常的に罵る・無視する・無能役立たずと蔑む・他人の前で欠点をあげつらう・友人と会わせない・終始行動を監視する・出て行けと脅す・別れるなら死ぬと狂言自殺する・子供や身内を殺すなどと脅す・ペットを虐待してみせる、など。ストレスとなる行為を繰り返し行う。
性的虐待
性交の強要・避妊をしない・特別な行為を強要する・異常な嫉妬をする、など一方的な行為で、近親間強姦とも呼べる。中絶賛成派は中絶をさせないこともこの中に含まれるとしている。
経済的暴力
仕事を制限する・生活費を入れない・家の金を持ち出す・無計画な借金を繰り返す・買い物の指図をする・クレジットカードの家族カードをはさみで切る、など。
社会的隔離
近親者を実家や友人から隔離したがる・電話や手紙の発信者及び内容を執拗に知りたがる・外出を妨害する、など。
一般的に暴力を好意的に受け止める人間は極めて限定的であるという考えから、DVの被害に対して別れればよい、付き合わなければよいという単純な解決法を提示する人もいるが、基本的にDVにおいて重要なのは単純な暴力行為だけではなく、暴力の合間に見せる僅かな見せ掛けの「優しさ」による被害者の加害者に対する信頼の再生産が重要であり、これが被害者と加害者のDV関係を修復・強化する重要な要素になる。DVの解決において加害者のみならず被害者にもカウンセリング等の対処が必要となる所以はこの点にある。
また、こうした暴力・虐待行為の現場に子供が居合わせることがある。子供に暴力を見せつけることも、被害者と子供双方に対する虐待である。子供のいる家庭で暴力事件が発生した場合、約七割の家庭で虐待を受ける母親を子供が目撃し、さらに、その三割が、実際に父親などからの暴力を受けていることが報告されている。
これら「近親者から受ける暴力」では、「夫婦喧嘩は犬も食わない」と言われ、警察は「民事の問題」として介入に消極的であった。しかし、法律の施行をきっかけに対応を変え、介入する動きも出てきた。
法律
DVの防止と被害者の保護を図るため、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(通称:DV防止法)が2001年10月に施行された。しかし、DV防止法は、結婚していない恋人間や親戚、親子、姉弟、兄妹などを対象としておらず、不備を指摘する声も多い。
恋人や元夫婦などにおける行動の規制にはストーカー行為等の規制等に関する法律(通称:ストーカー規制法)等が適用される場合もある。他には、近親者間では迷惑防止条例によって対応することもある。
DVにみられる傾向
男はこうあるべきだ、女はこうあるべきだという偏見を「性的役割」(または「ジェンダー・バイアス」)と呼称されるが、東京都の調査では、性的役割分業観に肯定的な人ほど異性への性的暴力や精神的暴力に対しても寛容であるという傾向を見出している。WHOの調査でも性的役割観とDV被害の相関が指摘されている。また、同調査では、加害者は被害者に対するコントロール傾向が強いことが指摘されている。また、加害者の多くは発達障害や自己愛性人格障害がみられる。
ウィキペディア参照:https://ja.wikipedia.org/
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