トゥレット障害
トゥレット障害(‐しょうがい)またはトゥレット症候群とはチックという一群の神経精神疾患のうち、音声や行動の症状を主体とし慢性の経過をたどるものを指す。小児期に発症し、軽快・増悪を繰り返しながら慢性に経過する。
チックの症状は攻撃的・性的な要素を含むことが多いため未治療の場合、患者にとって社会的な不利益を生ずることが多い。そのため、二次的に自己評価が低下したり抑うつ的になったりすることがある。
病名は初期に記載したフランスの神経内科医、ジョルジュ・ジル・ド・ラ・トゥレット(Georges Gilles de la Tourette、1857-1904)に因んでいる。ジル・ド・ラ・トゥレット症候群とも呼ばれるが最近は米国精神医学会(APA)による診断基準DSM-IV-TRや国際疾病分類第10版(ICD-10)にならい、単にトゥレット障害あるいはトゥレット症候群などと呼ばれることが多い。
チックの症状
運動チック
顔面の素早い動き(まばたき、顔をしかめるなど)、首を振る、腕や肩を振り回す、体をねじったり揺すったりする、自分の体を触ったり叩いたりする、口の中を噛む、他人の身体や周囲のものなどにさわる、など
音声チック
咳払い、鼻をすする、短い叫び声、汚言症(罵りや卑猥な内容)、うなり声、ため息をつくなど
一見チックに意味があるようにみえることがあり、これが更なる誤解を生むことがある。またチックはある程度抑制することができる場合もある。その為、例えば学校等の公共の場でチックを我慢し家等に帰ると安心し、抑えていたチックを起こす場合もある。
疫学
軽度のものを含めるとチックは比較的ありふれたものと考えられている。小児におけるトゥレット障害の正確な有病率ははっきりしないが、海外の大規模な調査では1%弱という数字も報告されている。男児が女児に比べ約3 - 4倍多い。またADHDや強迫性障害、学習障害、自閉症を合併する例もある。
原因
原因は確定していないが、基底核におけるドパミン系神経の過活動仮説が提唱されている。また双生児研究などから、遺伝的要因も関与していることも示唆されている。
統合失調症や自閉症と同じようにかつては「親の養育」「家族機能」などに原因を求められたこともあったが、現在では前記2疾患と同様、それらの説は否定されている。しかし精神的ストレスで悪化するなど、症状の増悪に環境要因が関与しているのは事実である。
また、社会的に広く見られる左利きの者に対する強引な矯正などでそのストレスの後遺症により発症することがあるとも言われている。なお、患者にトゥレット障害について伝えると却って症状を意識してしまい悪化する危険性が高い。
治療
抗精神病薬(ハロペリドールなど)などによる薬物療法が一定の効果を示す。加えて特に小児の場合はストレス因子の除去、疾患から生じる二次的な劣等感の除去・予防、症状から生じる周囲の偏見や学校でのいじめなどの予防などが重要である。
ウィキペディア参照:https://ja.wikipedia.org/
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