ギャンブル依存症
ギャンブル依存症(ギャンブルいそんしょう、ギャンブルいぞんしょう)は、依存症の一種で、ギャンブルによって得られる精神的高揚に強く囚われ、自らの意思でやめることができなくなった状態を指し、強迫的にギャンブルを繰り返す精神疾患である。
概要
この症状は、疾病及び関連保健問題の国際統計分類ICD10コード:F63.0に示されている通り、世界保健機関(WHO)が歴然と病気に認定しているものであり、正式な診断名は「病的賭博」である。 日本では公認されたパチンコ・パチスロ・競馬・競輪・競艇などによっても依存症状を発生させる者もいるが、カジノなどの認められている地域では、これらカジノの提供しているギャンブルによって依存症に陥るケースも多々報告されている。なお日本でも暴力団などの提供する非合法賭博の問題もあり、古くはそういった非合法賭博の高い賭け率が参加者を熱中させ正常な判断を誤らせるとみなされていた。
ギャンブルが業態として、娯楽を提供する性質のサービス業である以上、それら業態が必要とする利益を差し引いた金銭が客に再分配されているに過ぎない。健全な範疇では、一過性の娯楽としてギャンブルを行なうのに対し、ギャンブル依存症ではギャンブルを行なっている状態を維持するために借金までしてギャンブルを行ない続けることが問題視される。長期的にギャンブルを行なうということは、それだけ当たり外れが平均化され、余程のまぐれが続かないか、あるいは何らかの作為が加えられない限り、客の側からすれば利益を上回る支出が出るのが必定である。
ギャンブル依存症に関しては、こと過剰な射幸心から大儲けを目論んで無理な賭け方をしたり、または過去の債務を弁済できるほどの大当たりを期待して高い配当率にのみ注目するような傾向から負債を増やす傾向があり、これによって多重債務などを抱え、経済的にも困窮するケースがみられる。
債務の問題では、簡便に金銭が借りられるクレジットカードや消費者金融(日本ではいわゆる「サラ金」)を利用したり、あるいはヤミ金などの非合法金融から借金をしてでもギャンブルに熱中し、失職したり、欝病発症の引き金になることも多い。また、依存状態にある本人のみならず家族もトラブルに巻き込まれたり葛藤を生むことがあり、家庭不和から離婚に発展するケースも少なくない。また借金苦から逃れるために自殺に至ったり、道徳心が希薄になり、詐欺や横領などの犯罪に走るケースも散見される。
日本でも増加しており、推測で患者数は200万人を突破していると考えられている。誰もがなる可能性があり、知らず知らずのうちにはまる病気である。特にパチンコ・パチスロでは一般に広く普及しているため、これに関連して「パチンコ依存症」など社会問題として認識されている一方、パチンコの業界団体でも依存者に対する依存症脱出のための情報提供を行っている(→パチンコ)。
なおギャンブル依存の結果、深刻な借金苦に陥るケースはあとを絶たないが、日本では破産法により浪費や賭博など射幸行為をしたことによる負債では破産が認められず、弁済の義務を放棄することができないといった事情もある。
原因
抑圧された感情をうまく吐き出せず、ギャンブルで発散しているケースが多い。同じ依存症でも摂食障害やアルコール依存症などは広く認知されており、周囲も気づきやすいが、ギャンブル依存症はまだ認知度が低いため、病気であることが認識されず症状が進行しがちである。
この病気の難しさは、この「病気としての認知度が低い」という点にある。すでに自力で抜け出せない状況に陥っているにもかかわらず、本人はいつでもやめられると考えたり、他者の助言に耳をかさずに病気であることを自覚しないことが挙げられ、症状が進むとギャンブルで出来た借金をギャンブルで勝つことにより清算しようとするなど、合理的では無い考えを抱き実行したりと言う問題行動が繰り返される。また周囲が、病的な状態だとみなしても病気そのものだとは考えていない場合もある。このため、医療措置としての治療を受けさせる機会が遅れる傾向もある。
治療
特効薬はなく、同じ悩みや体験を持つ患者同士で話し合うことにより病気についての理解と自覚を深めることができる、GA(ギャンブラーズ・アノニマス)と呼ばれる自助グループに参加するのが有効とされる。新しい生き方や価値観などを発見することにより、ギャンブルからの脱却が可能になる。この病気が疑われる場合には、経済的な損失が取り返しのつかない段階になる前に、早急に精神科を受診し、治療を開始すべきである。
自己の症状をきちんと認識することがこれら症状の治療の上で重要であり、日本では先にあげたパチンコ業界団体ウェブサイトなどで簡易チェックリストが用意され、これを利用することで自分の状態を客観的に認識することが期待される。
このほか、社会的な取り組みとして、地域によってはそういった依存者に無理な融資を禁止しているケースも見られる。
ウィキペディア参照:https://ja.wikipedia.org/
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